パン飲み|発酵クリームやクロワッサン…本格的なのに普通じゃないLe pain de Abbessesの3種でマリアージュを楽しむ

香川 Le pain de Abbesses

パン飲み|発酵クリームやクロワッサン…本格的なのに普通じゃないLe pain de Abbessesの3種でマリアージュを楽しむ

「パン飲み」とは、文字通り「パンと一緒にお酒を楽しむ」ということですが、おいしく楽しむためにはちょっとしたコツやポイントが…。そこで、手軽にできるペアリングをシリーズでご紹介します。パンスクで届く個性豊かでおいしいパンを、さらにおいしく堪能!第3回となる今回は「Le pain de Abbesses」のパンを主役にお伝えします。

型破りなスタイルで香川にパン文化を「Le pain de Abbesses」

香川県高松市にある「Le pain de Abbesses(ル パン ドゥ アベス)」は、「香川=うどん」のイメージを変える一軒。店名は、オーナーシェフがパリ旅行でたまたま訪れた素敵な「アベス通り」から。香川県のパン屋の中では異色の存在のため、オープン当初は“ペリー来航”とウワサになったのだとか。

「普通のパンはつくらない」がコンセプト。オーナーシェフの村井宣彦さんご自身も、造船所勤務から高級フレンチレストランのベーカリーへ…という少し変わった経歴をもつ方です。

村井宣彦さん「型破りな私だからこそできる、香川グルメに新しい風を吹き込む店にしたいと思っています。小麦粉は国産・ヨーロッパ産問わず12〜13種類を使い分け、国産バターを100%使用。香川県産食材を使ったパンもあり、季節に合わせてメニューを変えています」。

今回は「ブレッサンヌ」「プレーンフォカッチャ」「クロワッサン」をもとにした“パン飲み”のペアリングを紹介します。

発酵クリームの菓子パンにはエレガントな泡を

まずは「ブレッサンヌ」。これは美食の街としても名高いフランス・リヨン近郊、ブレス地方伝統の菓子パンです。ブリオッシュ生地の上に、マイルドな酸味が特徴の発酵クリーム「クレームドゥーブル」をのせて焼き上げられたこのパンからは、シェフの伝統へのリスペクトとそこに挑戦する心意気が感じられます。

ひと口食べると、濃厚なミルク感と発酵による爽やかな酸味、そしてブリオッシュのバター風味が口いっぱいに広がり、まさに“口福”が訪れます。

リヨンはブルゴーニュやローヌといったワインの銘醸地に囲まれた街ですし、ペアリングもワインで。ここは“クレマン”と呼ばれる、上品なスパークリングワインで楽しみましょう。

クレームドゥーブルは濃厚なクリーム感が特徴。スパークリングワインの果実味と酸味、そしてシュワシュワとした泡の効果で、口の中を一旦リセット!このパンの次のひと口がまた新たにおいしく感じられるはずです。

プレーンなフォカッチャはイタリアの庶民スタイルで

フランスのパンを学び尽くしたシェフが焼くイタリアの庶民的なパン。ひと口食べてまず感じたのは、サクッとした歯切れの良さと良質なオリーブオイルの味わい、そして塩加減の上品さ。その丁寧な仕上がりに、逆にシェフの型破り感を感じました。

フォカッチャはどんな食事とも合わせやすいと思いますが、ここはイタリアの現地スタイルで。カラッとした地中海性気候の気分を堪能するべく、現地のトラットリアでも定番となっている“ちょい足し”をしながら、冷えた白ワインを合わせましょう。

バルサミコ酢、エクストラ・ヴァージンのオリーブオイルを少し深さがある小皿に入れて用意。ローズマリーの葉があれば尚よし!そこに、ひと口サイズにしたプレーンフォカッチャをつけて食べます。

ワインは、果実味が豊かで後味に心地よい苦味も感じられる白を。南イタリアのみならず、スペインやギリシャ、南フランスといった地中海エリアで造られる白ワインにはそういう味わいのものが多くありますし、ワイン専門店でなくても入手しやすいと思います。

“クロガー”という変化球アレンジと超簡単カクテル

「Le pain de Abbesses」のイチオシは、クロワッサンとのこと。成形の美しさやパリッと焼かれた皮からして期待大。そっとカットすると、生地の層も均一でしっかりふくらんでいる…これぞまさに“断面萌え”。イチオシ、納得です。

まずは「サクサク食感とバターの芳醇な香りを楽しみながら、自分の好きなワインを一杯!」がおすすめですが、型破りなシェフをリスペクトしつつ、あえてここでは一風変わった食べ方を紹介してみたいと思います。

それは「クロガー」。“クロワッサン×ハンバーガー”の造語で、クロワッサンをバンズに見立てて、シンプルな具材で楽しみます。

まずは、クロワッサンを横半分に切ってマヨネーズを薄く塗ります。そこにスライストマトとシュレッドチーズ(とけるチーズ)をのせて、オーブントースターへ。チーズが溶けたら取り出し、ハンバーグやサラダチキンなどお好みの具材を挟めば完成です。

ビールやスパークリングワインなどペアリングの幅も広がりますが、今回は型破りついでに「カリモーチョ」を用意。赤ワインをコーラで割るだけの超簡単カクテルで、バーガー系のサンドイッチによく合います。

カリモーチョの発祥については諸説ありますが、スペインの植民地だったメキシコで生まれ、スペイン・バスク地方で人気に火がつき、世界へと広まっていったというのが通説。仕上げにレモンかライムをキュッとひと搾りして味わってみてください。

“パン飲み”で、おいしいパンの魅力を深掘りしよう

「料理は得意じゃない」「あまり時間がない」というパン好きさんも、手軽に楽しめる“パン飲み”のペアリング。パンスクで届く個性豊かでおいしいパンをベースに、家でゆるりと“パン飲み”を楽しんでみましょう!

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佐野 嘉彦

ニューヨーク発祥のレストラン評価ガイド『ZAGAT』日本版の編集マネージャー、ワインスクールでの講師、料理専門出版社での勤務などを経て、現在「sembrar(センブラール)」を屋号とし、食に関する編集企画、執筆、PRコンサルティング、セミナー講師などを行っている。
NPO法人チーズプロフェッショナル協会幹事、フランスチーズ鑑評騎士、ワインエキスパート、Slow Food Nippon会員。
Website https://www.sembrar.jp
Instagram https://www.instagram.com/sanotch324/

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