パン屋さんの定番商品として、さらにはスーパーに並ぶ菓子パンのなかでも一二を争う人気の菓子パンとして、多くの人々から愛されている「クリームパン」。全国にはクリームパンを看板商品とするベーカリーも多く、近年では専門店も続々とオープンしています。
そんなクリームパンですが、いつ、どこで、どのようにして誕生したのか、その歴史をご存じでしょうか?本記事では、おやつパンとして長きにわたり日本人から愛されているクリームパンの意外なルーツに迫ります。パン好きの心をつかむ話のネタにピッタリのクリームパンに関する雑学もあわせてご紹介しますので、ぜひ最後までお楽しみください。
クリームとパン、いずれも西洋の食文化のなかで生まれた食材ですが、実はクリームパンは日本発祥。洋食文化が浸透する以前に生まれた当時としては非常に斬新なパンは、やがて日本全国に広まり、誰もがつい手に取ってしまう「おなじみの菓子パン」として定着していきます。
その歴史がはじまったのは、日露戦争最中の1904年。現在も人気の老舗洋食店の創業者が、とあるスイーツを口にしたことがきっかけでした。
クリームパンの元祖といわれているのは、現在も人気老舗洋食店として営業を続ける「新宿中村屋」が1904年に販売を開始した「クリームパン」。ある日、創業者の相馬愛蔵氏とその妻である黒光夫妻は、日本ではまだ珍しかったスイーツ「シュークリーム」を口にし、あまりの美味しさに深く感動をおぼえます。これをきっかけに愛蔵氏は、当時すでに認知を広げつつあった木村屋總本店の「あんぱん」のように、クリームをパン生地で包んで焼くことを試みます。これが、クリームパン誕生の瞬間です。
「クリームとパンを組み合わせる」という発想には、当時の世情も影響していたとされています。1900年過ぎの日本では、ビタミンの欠乏によって発症する「脚気(かっけ)」に悩まされる人々が多くいました。このことから、ビタミンやカルシウムを豊富に含む牛乳や卵を使ったクリームを使えば、ただ美味しいだけでなく栄養価の高いパンをお客様に届けられる、そう考えたのです。
異国のスイーツで得た感動と人々の健康を気遣う心が詰まったパンとして生まれた新宿中村屋のクリームパンは、現在も「元祖クリームパン」として一部店舗にて販売されています。
クリームパンといえば、ぽってりとしたグローブ型を思い浮かべる方が多いはず。他のパンには見られないこの特徴的な形にも、実は秘密が隠されています。
新宿中村屋で誕生したクリームパンは、当初、柏餅のような形状でした。このとき、生地でクリームを包んだ後発酵させた際に、パン生地部分のみが空気を含んで膨らむことで、なかに大きな空洞ができていました。空洞が大きくなっても、クリームは増えません。つまり、たっぷり詰めても結果的にスカスカ状態……。「お客様を損した気分にさせてしまうのではないか」と考えた創業者の相馬愛蔵氏は、生地に切れ目を入れてなかの空気を逃がすことを思いつきます。こうして生まれたのが、現在定番の形として定着している、グローブ型のクリームパンだったのです。
ちなみに、昭和初期の記録には、柏餅型のクリームパンが販売されている様子が残されているそう。空洞防止とお客様の満足度向上を目指した結果編み出された現在の形に落ち着いたのは、第二次世界大戦後だったといわれています。
「クリームパンといえばグローブ型」「クリームはバニラビーンズ入りカスタード」
これが常識だと思っている方、クリームパンの歴史はすでに次のステージに進んでいます。現在では、製法や形に工夫を凝らしたさまざまな「進化系クリームパン」が人気を博しているのです。以下に、その一部をご紹介します。
いずれも、これまでの概念が覆されること間違いなしの逸品。今後もクリームパンの進化から目が離せません。
クリームパンには、ルーツや歴史以外にも知られざる秘密が!?ここでは、パンマニア必見のクリームパンにまつわるおもしろ雑学をご紹介します。
現在日本で「クリームパン」と呼ばれているパンは、日本生まれ。一方、他の国では、日本のものとは様子が異なるものの、パンのなかにクリームが入っているという部分では共通している「クリーム入りのパン」がいくつか存在します。
マリトッツォの流行は、記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。これらはいずれも、現在日本で販売され人気を博しているいわば「外国生まれのクリームパン」。日本でおなじみにの味と食べ比べしてみるのもよいでしょう。
日本人は「海外の食文化を日本風にアレンジするのが好き」といわれています。西洋から渡ってきたパンとクリームを合わせたクリームパンも、その一つといえるのかもしれません。
しかし、パンの本場フランスではクリームパンやあんぱんなどの日本生まれのパンを「受け入れ難い」とする意見も多いのだとか。一般的に、フランス人が好んで口にするのは、バゲットなどをはじめとするハード系のパン。そのため「やわらかなクリームとパンを合わせることなど考えられない!」という先入観から、クリームパンに対するネガティブなイメージが湧いているのでは?とささやかれています。
クリームパン否定派のフランス人が日本のクリームパンを口にしたら、一体どのような反応を見せてくれるのか。クリームパン好きの方からすれば、非常に気になるところではないでしょうか。
基本的に、クリームパンをはじめあんぱん、ジャムパン、メロンパンといった菓子パンをリベイク(トースターなどで温めて食べる)する方は少ないはず。しかし、クリームパンをリベイクすると、パンの外側がカリッとするだけでなく、なかのクリームのとろける食感が増し、一層美味しくいただけるのだとか。
ちなみに、クリームパンを冷蔵庫で冷やして食べる「冷やしクリームパン」を支持するパンマニアも多数。ただし、生地の配合によっては冷やすことでパサついてしまう場合もあるため、すべてのクリームパンに有効というわけではないようです。
見かけるとつい手が伸びてしまう、そんな日本人にとってなじみ深い菓子パン界の人気者「クリームパン」。日本各地のパン屋さんでは、クリームの舌触りやパン生地との絶妙な相性を追求し、研究に研究を重ねて生み出されたクリームパンが、いつでも店頭で私たちを出迎えてくれます。
歴史的背景を思い浮かべながら、クリームパンをおうちでじっくり味わってみたいという方は、クリームパン入り入りのパンスクボックスを試してみてはいかがでしょうか。「パンスクギフト」は、全国各地の有名ベーカリーのパンをご自宅でお楽しみいただける、冷凍パンのギフトボックスです。全国から集めたさまざまな名店のギフトのなかには、クリームパン入りのボックスもございます。
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