和歌山県の中央に位置する有田川町。そこに「沖縄の食文化を取り入れたパン」をコンセプトにした「jimamaya bakery(ジママヤベーカリー)」があります。沖縄出身のオーナーシェフ、野村優一さんは、結婚と子育てを機に妻の地元の和歌山に移住。2017年にこのユニークなベーカリーをオープンしました。
店名の「ジママヤ」は「ジママ(沖縄の方言で自由気ままにという意味)」と、「ヤ(家)」を合わせていて「気軽に来てほしい」という想いと、「自由な発想でパンづくりをしていきたい」という決意が込められているそう。
50種類ほど並ぶ個性豊かなパンは、地元でも大人気。材料ももちろん沖縄にこだわっていますが、中でも黒糖は特に厳選し、現地に足を運んで吟味されています。「沖縄の風景を思い浮かべながらうちのパンを食べてもらえるとうれしいです」と語る野村さん。
今回は「ベーグル紅芋」「黒糖パン」「ラフテーカレーパン」をもとにした“パン飲み”のペアリングを紹介します。
「黒糖って、さとうきびと混ぜて加工したものが多いのですが、当店で使用するのは100%の純黒糖。自然な優しい甘さと風味を感じていただけますよ」と野村さん。この紅芋のベーグルにも、そのこだわりの黒糖が使われています。
生地は、黒糖とコーヒー粉末、さらに米粉も練り込まれ、まさに唯一無二!トースターでリベイクすると皮がパリッとしつつ、もちふわ食感がまさに日本人好み。ひと口目では黒糖のかりんとうを食べているような印象で、そこに沖縄県産の紅芋を使用した餡が風味豊かに重なります。
沖縄の個性がギュッと詰まったこのベーグルには、全体のうま味を膨らませてくれる麹の甘酒を合わせます。ただしそのままだと甘味が目立ってしまうので、麹の甘酒にはすりおろした生姜を加えて、爽やかな刺激をプラス。
麹の甘酒は、“飲む点滴”とも言われるくらい栄養満点のノンアルコール飲料。朝ごはんにこのペアリングを楽しむというのもおすすめです。
こだわりの純黒糖をたっぷり練り込んだ、しっとり柔らかいパン。甘過ぎず、黒糖のコクを感じられるので、そのまま食べてもおいしいですし、軽くトーストしてバターを塗っても最高!
パン飲みするなら、黒糖のストレートな風味をベースとしながら、さらに沖縄の食材をトッピングして、おいしさの層を重ねてみましょう。
“スパム”の呼び名で有名な、ランチョンミートをまずはソテー。軽く焼き目がついたら、粒マスタードとマヨネーズを塗った黒糖パンでサンドイッチにします。
飲み物は沖縄の軽やかなビールでもいいのですが、今回はシークァーサーのサワーを。缶入りの市販品も最近はコンビニやスーパーで見かけます。爽やかでちょっと青みのある柑橘フレーバーが、黒糖やランチョンミートといった沖縄食材と重なり、甘味、塩味、酸味、うま味が重層的に!さらに、粒マスタードや炭酸の刺激も加わり、心地よいハーモニーとなって楽しめます。
沖縄そばの具材としても有名な、豚の角煮「ラフテー」。「ラフテーカレーパン」は、じっくりと煮込まれて味わい深くなった豚肉とカレーをベーグル生地に包んで、揚げずに焼いて仕上げた一品です。サクッモチッとした生地、ゴロッとした肉、ピリッとしたカレー……、食感もおいしさの大事な要素!それを改めて感じることができる焼きカレーパンです。
この焼きカレーパンのパンチには、黒胡椒やカカオのニュアンスがあるオーストラリアの赤ワインを。シラーズ(Shiraz)と呼ばれるブドウ品種の赤ワインで、「オーストラリアの赤と言えばコレ!」という超メジャー級のブドウ品種です。
ペアリングすると、口の中はまさにカレーディナー。このパン飲みなら、フォーク&ナイフでカレーパンを食べるのもありかも!?と思ってしまうほどです。
「料理は得意じゃない」「あまり時間がない」というパン好きさんも、手軽に楽しめる“パン飲み”のペアリング。パンスクで届く個性豊かでおいしいパンをベースに、家でゆるりと“パン飲み”を楽しんでみましょう!
ニューヨーク発祥のレストラン評価ガイド『ZAGAT』日本版の編集マネージャー、ワインスクールでの講師、料理専門出版社での勤務などを経て、現在「sembrar(センブラール)」を屋号とし、食に関する編集企画、執筆、PRコンサルティング、セミナー講師などを行っている。
NPO法人チーズプロフェッショナル協会幹事、フランスチーズ鑑評騎士、ワインエキスパート、Slow Food Nippon会員。
Website https://www.sembrar.jp
Instagram https://www.instagram.com/sanotch324/
お店がセレクトしたパン 8個前後(3,132円 税込)
+パンの旅費(全国一律858円 税込)
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