宮城県仙台市の若林区沖野に位置する「はやさか製パン」は、2018年にオープンした小さなベーカリーだ。周囲には飲食店もまばらでまさに閑静な住宅街といった雰囲気だが、「はやさか製パン」には毎日おいしいパンを求める人々が集まる。
パン職人として10年以上のキャリアをもつ夫と、8年にわたりパティシエとしての経験を積んだ妻がオープンして、今年で7年目。いまだに夫妻は2人きりで、毎日約30種類のパンをつくり続けている。
「基本的に、パンの生地をつくって焼き上げるのは夫で、私はフルーツサンドの生クリームを立ててデコレーションしたり、パンのラッピングをする担当。夫は、パンをつくる工程をすべてひとりで行いたいタイプなんです。彼のこだわりと責任感によって、毎日品質の高いパンを提供し続けることができています」
メニューの考案は妻の悠さんが行うことが多く、そこからレシピを作成するのは夫の担当。2人で何度も試作と試食を重ね、双方に納得できるものができあがるまで、店頭に出すことはないという。
「新しいメニューに限らず、定番メニューだったとしても、焼き色が少しでも入り過ぎていたら必ず味見をしています。その上で、『これは違うな』と感じたら店頭には出さないようにしていますね」と悠さん。
「お店に来てくれる方にはリピーターの方も多いですが、その日初めて訪れて、うちのパンを口にするという人もいますよね。そんな方に『この店のパンはこういう味なんだ』と思って欲しくないし、がっかりさせるようなことはしたくありません。だから、『まあ、これでいいか』という気持ちでパンを提供することはありません」
「はやさか製パン」のパンは、マーガリンやショートニングを使用せず、バターや生クリームを使っていることが大きな特徴だ。
ベーカリーをオープンする際、素材と品質にこだわったパンを提供し続けるということが、夫妻共通のテーマとなった。動物性のうまみが感じられる生地に、北海道産のあんこをはじめとした国産素材、旬の食材などを組み合わせ、うっとりするようなおいしさのパンを生み出している。
一番人気は、ふかふかとした食感の食パンだ。平日でも午前中で完売してしまうことが多く、現在は電話やメールでの事前予約を推奨している。
生クリームとバターをふんだんに使った食パンは、何もつけずにそのまま食べるだけでも、ほんのりとした甘みやコクが感じられる。
悠さんのおすすめは、4〜5枚カットの厚切りにした食パンをトーストし、バターやジャムを塗らずにそのままかぶりつくこと。外側はカリッと、内側はふわっとした食感のコントラストと、口の中に広がるバターの風味がたまらないのだという。
食パンをはじめとした「はやさか製パン」のパンを求めて、県外からわざわざ訪れる人も少なくない。パン愛好家によるSNSの発信をはじめとした口コミを見た人、グルメフェスの出店、パンのサブスクサービス「パンスク」などで出会い、足を運んでくる人も多いようだ。
「食パンはほとんどのパン屋さんに置いてあるメニューですが、わざわざ当店で買いたいと思ってくださる方がいることが本当にうれしいです。これからも自分たちが自信を持って提供できる、おいしいパンをつくっていきたいですね」
お店がセレクトしたパン 8個前後(3,132円 税込)
+パンの旅費(全国一律858円 税込)
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